相続前の準備で“争族”を防ぐ|今からできる法律的・感情的な2つの備え
~「終活」は“自分と家族の安心”をつくる第一歩~
終活が当たり前の時代に
「終活」という言葉が一般的になった今、相続前の準備をすることは“特別なこと”ではなくなりました。
近年では、50代・60代のうちから自分の財産や想いを整理し、家族の負担を減らしたいと考える方が増えています。
自分の死を意識するというよりも、
「残された家族に迷惑をかけたくない」
「自分の意思を形に残したい」
という前向きな備えが相続前の準備の本質です。
この記事では、相続のトラブルを防ぐために重要な2つの側面(法律的・感情的)からの準備を分かりやすく解説します。
① 法律的な準備|財産と意思を「見える化」する
相続の準備を進める上で、まず必要なのが法律的な整理です。
財産の現状を明確にし、自分の意思を法的に反映させることで、相続トラブルを未然に防げます。
🔹 財産の整理・把握
まずは、自分が持っている財産の全体像を把握しましょう。
- 不動産(土地・建物)の登記簿を確認
- 預貯金・有価証券・保険契約などの整理
- 借入金・ローン・連帯保証などの負債確認
この段階で重要なのは、「プラスの財産」と「マイナスの財産」の両方を明らかにすることです。
遺族が「借金があるとは知らなかった」というケースは少なくありません。
相続後に発覚すると相続放棄の期限(3か月以内)に追われることもあるため、事前の整理が家族の安心につながります。
🔹 遺言書の作成
相続の基本中の基本が遺言書です。
遺言書には大きく「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
種類 | 特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
自筆証書遺言 | 自分で手書きする遺言 | 手軽・費用が安い | 書き方に不備があると無効になる |
公正証書遺言 | 公証役場で作成 | 法的に確実・紛失リスクなし | 費用・証人が必要 |
公正証書遺言は法的信頼性が高く、「相続人間の争いを防ぐ最も確実な方法」といわれています。
また、2020年からは法務局での「自筆証書遺言保管制度」も始まり、選択肢が広がっています。
🔹 生前贈与の活用
生前に財産を一部贈与しておく「生前贈与」も、相続対策のひとつです。
特に「相続時精算課税制度」を利用すれば、最大2,500万円まで非課税で贈与可能(※一定条件あり)。
ただし、節税目的での贈与は誤ると「贈与税」や「特別受益」などの問題になるため、専門家のアドバイスが欠かせません。
🔹 民事信託(家族信託)の検討
最近では「家族信託(民事信託)」を利用して、将来の財産管理を家族に託すケースも増えています。
認知症などで判断能力が低下しても、信頼できる家族が代わりに管理できる仕組みで、
遺言や後見制度よりも柔軟な財産運用が可能です。
② 感情的な準備|想いを伝えることも“立派な相続”
法律的な準備が“形”の整理だとすれば、感情的な準備は“心”の整理です。
相続のトラブルの多くは、財産ではなく「気持ちの行き違い」から生じます。
🔹 エンディングノートの作成
エンディングノートは、法律的効力こそありませんが、
自分の想い・希望・家族へのメッセージを残せる大切なツールです。
記載例:
- 財産・口座・保険の一覧
- 医療や介護についての希望
- 葬儀・お墓に関する希望
- 家族への感謝の言葉
「遺言書が財産の分け方なら、エンディングノートは人生の締めくくり方」。
どちらも、家族が安心して前に進むための道しるべになります。
🔹 家族との対話
どんなに完璧な遺言書を作っても、家族がその意図を知らなければ、誤解を生むこともあります。
定期的に家族と話し合い、想いを共有しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
相続前の準備で人生の“最終章”を安心に
相続前の準備は、「死への備え」ではなく「生き方の整理」です。
財産をどう残すか、どんな想いを伝えるか。
それを自分の意思で決めることができるのは、“今”だけです。
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