相続放棄の流れと注意点
「借金も相続される?」後悔しないための手続きポイントを解説
相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切受け継がないとする法的手続きのことです。
現金や不動産などの「プラスの財産」だけでなく、借金・滞納税・カードローン・保証債務などのマイナスの財産も相続の対象になります。
そのため、相続放棄は「借金を引き継ぎたくない」「知らないうちに債務を負いたくない」という方にとって、非常に重要な選択肢です。
相続放棄の基本的な流れ
相続放棄は、家庭裁判所に申し立てる正式な手続きが必要です。
主な流れは次の通りです。
1️⃣ 被相続人が亡くなったことを知る
┗ 相続開始(死亡)を知った日が、申請期限の起算点になります。
2️⃣ 遺産(借金含む)の内容を調査する
┗ 通帳・借用書・クレジット明細・請求書などを確認し、プラス・マイナス双方の財産を把握します。
3️⃣ 家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出
┗ 管轄は「被相続人の最後の住所地」の家庭裁判所です。
4️⃣ 家庭裁判所による審査・受理通知を待つ
┗ 通常2~4週間ほどで結果が通知されます。
5️⃣ 相続放棄受理証明書を取得
┗ 証明書を金融機関・債権者に提示し、債務支払い義務がないことを明示します。
相続放棄の注意点【5つの落とし穴】
① 期限は「相続開始を知ってから3か月以内」
相続放棄は原則として3か月以内に申述しなければなりません。
この期間を過ぎると、「単純承認(相続を受け入れた)」と見なされ、借金も相続してしまう恐れがあります。
📌 ポイント:
もし財産内容の調査に時間がかかる場合は、「熟慮期間の伸長申立」を裁判所に行うことも可能です。
② 財産を「一部でも使う」と放棄できない
被相続人の財産を一部でも使用・処分すると放棄が認められなくなります。
たとえば以下のような行為は要注意:
- 故人の口座から葬儀費用を引き落とす
- 故人の車や家財を売却・使用する
- 預金を生活費に充てる
こうした行為は「相続の意思あり」と判断される可能性があります。
③ 他の相続人との関係に注意
相続放棄をすると、自分の相続権は消滅しますが、次順位の相続人(親・兄弟姉妹など)に相続が移ります。
👉 たとえば:
配偶者・子が放棄 → 親が相続人に
親も放棄 → 兄弟姉妹が相続人に
放棄する際は、他の親族とも連絡を取り、混乱を避けることが大切です。
④ 家庭裁判所での書類不備が多い
申述書の記載ミスや戸籍の不足により、再提出を求められるケースが多発しています。
特に、亡くなった方の戸籍を出生から死亡まで全て揃えるのは手間がかかるため、専門家に任せるとスムーズです。
💡 司法書士・行政書士への依頼で得られるメリット
- 必要書類の収集を代行してもらえる
- 申述書の記入漏れ・形式不備を防げる
- 家庭裁判所とのやり取りをスムーズに代行
⑤ 相続放棄しても「一時的な管理義務」は残る
相続放棄が受理されても、他の相続人が手続き完了するまでの間は、遺産の管理責任を負うことがあります。
たとえば、空き家や自動車などを放置すると、損害や事故が発生した場合に法的責任を問われるケースもあります。
よくあるご相談事例
• 「亡くなった母に借金があったと後から知った」
→ 放棄期限内に急いで手続きする必要あり。
• 「兄弟が全員放棄したが、自分だけ申述していなかった」
→ 単純承認と見なされる恐れがあり、慎重な対応が必要。
• 「親族間で遺産の使い込みが疑われている」
→ 相続放棄と併せて、法的手段の検討も必要になるケース。
相続放棄の手続きは“スピードと正確さ”がカギ
相続放棄は、期限・書類・証明の3つをきちんと揃えないと無効になるリスクがあります。
特に、被相続人の借金が判明した時点で「放棄を急ぐべきか、相続を選ぶべきか」の判断が求められます。
その判断を誤らないためにも、司法書士などの専門家に相談するのが最善です。
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