境界があいまい?隣地トラブルになる前に知っておきたい測量の基礎知識

相続や土地の売却・分筆などの場面で、
「境界がどこにあるのか分からない」「隣の土地との境があいまい」
といったお悩みは非常によく発生します。
境界が不明確なまま放置してしまうと、
隣地所有者との境界トラブルや測量のやり直しが必要になるだけでなく、
- 土地の売却価格が下がる
- 相続手続きが進まない
- 建築許可が下りない
といった大きなリスクにつながる恐れがあります。
特に千葉県野田市をはじめとした古い住宅地や農地エリアでは、
「昔の境界標が失われている」「古い図面と実際の位置がずれている」
というケースも少なくありません。
こうしたトラブルを未然に防ぐためには、
専門家による正確な土地測量と境界確定登記を早めに行うことが大切です。
登記簿や公図の確認、現地での立会い測量を通じて、
将来的な隣地とのトラブルを防ぎ、安心して相続・売却できる土地管理を実現しましょう。
1. 「筆界」とはなにか?

境界トラブルや測量を考えるうえで、
まず理解しておきたいのが「筆界(ひっかい)」という概念です。
筆界とは、登記簿上で法的に定められた
土地と土地の境界線のことを指します。
これは、法務局が管理する公的な情報であり、
土地所有者同士が話し合って勝手に変えることはできません。
つまり筆界は「動かせない法的な線」であり、登記記録上の最も重要な基準です。
ただし、実際の現地では、塀やフェンスなど物理的な境界と筆界の位置が
一致しないケースも多くあります。たとえば、長年のうちに境界標がずれたり、
土地整備や建物の建て替えによって、登記簿の情報と現況が食い違ってしまうことがあるのです。
このような状態を放置してしまうと、
- 隣地所有者との境界をめぐるトラブル
- 相続時や売却時の登記手続きの遅れ
- 土地の評価や査定額の低下
などにつながるリスクがあります。
さらに、境界だけでなく 土地を複数人で共有している共有持分の状態も注意が必要です。
共有名義の土地では、筆界確認や売却手続きの際に、共有者全員の同意が必要となるため、
スムーズに進まないケースが少なくありません。
▶ 関連記事:登記簿の共有持分って何?わかりやすく解説
2025.07.13
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このように、「筆界」も「共有持分」も、土地の権利関係を整理する上で
避けて通れない重要なポイントです。
どちらも正しく理解し、必要に応じて測量士や司法書士に相談しておくことで、
後のトラブルを防ぐことができます。
2. 境界トラブルが起きやすい場面
土地の境界(筆界)をめぐるトラブルは、特定のタイミングで発覚するケースが多くあります。
普段は問題がなくても、相続や売却、建築工事などの節目で「境界のずれ」が明らかになることがあります。
相続で土地を分けるとき
相続で土地を複数人の名義に分ける際、境界線がはっきりしていないと分筆登記ができないことがあります。
また、登記簿上で土地の面積が曖昧なままだと、
相続人同士の間で「どこまでが自分の土地なのか」という争いに発展することも。
相続登記の義務化が始まった今、測量と境界確認は早めの対応が重要です。
古い土地を売却するとき
古くから所有している土地を売却する際、
買主や不動産会社から「境界確定図の提出」を求められることがあります。
しかし、境界標が失われていたり、過去の測量図が古くて使えなかったりすると、
再測量が必要となり、売却が大幅に遅れるケースも。
そのため、売却を検討している方は、事前に境界の確認と登記簿のチェックを行うことが大切です。
道路拡張や近隣の建築工事の際
公共事業による道路拡張や、隣地の新築工事の際には、
工事範囲を明確にするために「筆界確認」が求められます。
このとき、隣地との間で境界線の認識が食い違っていると、
工事が一時中断する、行政の立ち入りが必要になるなど、思わぬトラブルにつながります。
長年「なんとなくの境界」で利用していた場合
昔から設置されているブロック塀やフェンスを「境界線」だと思い込んで使っていた結果、
実際には隣地に越境していた、または本来よりも狭い土地を使っていたという事例も少なくありません。
特に、古い住宅地や農地では、図面と現地の位置が一致していないケースもあります。
👉 いざ測量してみると、
- 「思っていたより土地が狭かった」
- 「隣地の一部を使っていた」
などの問題が発覚することも珍しくありません。
このようなトラブルを防ぐためにも、早めに測量士へ相談し、
筆界確認・現地測量・境界標の復元などを行っておくことが安心です。

3. 測量の種類と手続き|相続・売却前に知っておくべき3つのポイント
土地の境界を正確に把握し、将来のトラブルを防ぐためには、目的に応じた「測量」を行うことが欠かせません。
測量には大きく分けて 「現況測量」「確定測量」「境界確定登記」 の3つの段階があり、それぞれ役割や目的が異なります。
特に相続や不動産売却の際には、どの測量が必要かを理解しておくことが重要です。
■ 現況測量とは
現況測量とは、土地の現在の状態(建物の位置・境界標の有無・面積など)を把握するために行う簡易的な測量のことです。
主に 売却予定地の事前調査 や、 土地利用計画を立てる際の参考データ として活用されます。
ただし、この段階では 法的な「筆界(登記上の境界)」が確定するわけではありません。
「境界の目安を知るための測量」として捉えるのがポイントです。
■ 確定測量とは
確定測量は、隣地の所有者立ち会いのもとで筆界を確認し、正式に境界標を設置する測量です。
この作業では、測量士が 公図・地積測量図・登記簿などの資料 を基に、現地で法的な境界線を明確にします。
確定測量を実施しておくことで、 相続登記や土地売却の際に「境界があいまい」と指摘されるリスクを防ぐ ことができます。
不動産の取引現場では、買主や金融機関から 「確定測量図の提出」 を求められることが一般的であり、
スムーズな契約・登記手続きを進めるうえで欠かせないステップといえます。
■ 境界確定登記とは
確定測量で確認した筆界をもとに、法務局へ申請して正式に登記を行う手続きです。
この「境界確定登記」を済ませておくことで、登記簿上にも明確な境界が記録され、将来の相続・売却・分筆にも安心して対応できる ようになります。
また、共有地や古い土地のように境界が曖昧な場合にも、登記によって公的な根拠を示すことができ、隣地トラブルを未然に防ぐ効果があります。
👉 売却や相続で揉めないためには、「確定測量」+「境界確定登記」をセットで行うことが理想です。
これにより、境界の明確化・資産価値の安定・トラブル防止 のすべてを実現できます。
4. 「筆界確認書」の重要性

土地の測量や確定作業を行ったあと、隣地の所有者との間で合意した境界線 は、
必ず「筆界確認書(ひっかいかくにんしょ)」という書面に残しておくことが大切です。
この筆界確認書とは、双方が境界の位置を確認し、合意したことを正式に記録した証拠書類 です。
測量士が作成する図面や座標データとセットで保管しておくことで、将来にわたって法的にも信頼性の高い資料となります。
■ 筆界確認書を作成するメリット
- 将来の境界トラブル防止に役立つ
- 相続や不動産売却時に安心できる資料になる
- 土地の資産価値を守るための根拠となる
隣地所有者が代替わりしたり、土地が売買されたりした場合でも、
筆界確認書があれば「どこが境界か」を明確に証明できます。
これにより、将来的な境界紛争や越境問題のリスクを大幅に減らすことができます。
土地を相続した相続人や、買主にとっても「境界が確定している土地」は大きな安心材料です。
登記簿や測量図だけでは不十分な場合でも、筆界確認書があれば “境界が合意済みの土地”として評価され、売却価格の維持にもつながります。
特に古い土地や市街化区域のように地権者が多い地域では、境界が曖昧なまま取引されると
「境界未確定地」とみなされ、査定額が下がってしまうこともあります。
筆界確認書をきちんと作成・保管しておくことで、資産としての土地の信頼性を高めることができます。
👉 つまり、「筆界確認書」は単なる書類ではなく、土地の安心と価値を守るための“境界の証明書” なのです。
相続・売却・開発など、どのような場面でも後々のトラブルを防ぐために、必ず書面で残しておくことをおすすめします。
5. 専門家に依頼すべき理由
境界問題は「測量士」だけでなく「法務(登記)」の知識も必要です。
境界確定登記は司法書士の分野
測量や筆界確認は土地家屋調査士の分野
トラブル対応には弁護士が必要な場合も
👉 複数の専門家が連携して初めて、境界問題はスムーズに解決します。
まとめ
境界があいまいなまま相続や売却を進めると、隣地トラブルや手続きの遅延を招きます。
筆界を理解すること
確定測量と境界確定登記を行うこと
筆界確認書を残しておくこと
これらが「境界問題を防ぐ3本柱」です。
染谷総合法務事務所では、土地家屋調査士・不動産チームと連携し、測量から登記、トラブル対応までワンストップでサポート いたします。
専門家に相談して“自分に合った対策”を
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