「登記名義が亡くなった親のまま…」放置のリスクと今できる対策
親が亡くなって数年経つけれど、家や土地の登記名義がまだ親のまま――。
実はこうしたケースは非常に多く、全国的に大きな問題となっています。
登記を放置すると、売却できない・相続トラブルが起きる・罰則を受ける といった深刻な事態を招きます。
この記事では、登記名義を放置した場合のリスクと、今すぐできる具体的な対策を解説します。
1. 相続登記義務化で放置はNGに
2025年4月から「相続登記の義務化」がスタートしました。
これまで相続登記は任意であり、登記をしなくても直接の罰則はありませんでした。
ところが、登記を放置することで 不動産の売却や利用ができない・相続人同士のトラブルが増える・所有者不明土地が社会問題化する といった深刻な影響が全国的に広がったため、国が法律を改正したのです。
新しい制度では、相続によって不動産を取得したことを知った日から 3年以内に相続登記を申請する義務 が課されています。
この期限を守らずに登記を怠った場合、 10万円以下の過料(罰金) の対象になる可能性があります。
つまり、名義を亡くなった親のままにして放置していると、これまでは「単に不便が生じる」という問題で済んでいたものが、今後は 法律上のペナルティを受けるリスク に直結するということです。
国が相続登記を義務化した背景には、「所有者不明土地問題を解消する」という狙いがあります。
所有者が分からない土地が増えると、公共事業や都市開発、地域のインフラ整備にまで大きな支障が出てしまうからです。
そのため、今後は「親名義のまま」「祖父母名義のまま」という状態を見過ごすことはできません。
相続登記は「あとでまとめてやればいい」ではなく、法律上必ず期限内に行わなければならない義務になりました。
大切な不動産を守り、罰則を避けるためにも、相続登記は早めに専門家へ相談して進めることをおすすめします。
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2. 登記を放置すると起きるトラブル
(1)不動産が売れない
登記名義が亡くなった親のまま放置されている不動産は、基本的に売却することができません。
なぜなら、不動産の売買契約は「現所有者(名義人)」が行う必要があるからです。
たとえば、家や土地を売りたいと思って買主が見つかったとしても、買主からは必ず「相続登記を済ませてから契約しましょう」と言われます。つまり、相続登記をして正式に名義を移していない限り、売却はストップしてしまうのです。
結果として、せっかくの売却のチャンスを逃してしまったり、急ぎで資金化したいと考えていても、手続きが長引いてしまうケースが非常に多く見られます。
「登記を放置したままでは不動産は売れない」ことを理解し、早めに対応することが大切です。
(2)相続人同士で揉める
相続登記を放置すると、時間の経過とともに相続人の数が増えていきます。
当初は「兄弟だけ」で話し合えば済んでいたものが、10年、20年と経つうちに「甥・姪」や「いとこ」まで相続権を持つ人が広がってしまうのです。
その結果、相続登記を行うには全員の同意が必要となり、手続きが極めて複雑化します。中には連絡が取れない相続人がいたり、意見が対立して「話し合いがまとまらない」というトラブルに発展するケースも少なくありません。
こうなると、家庭裁判所での調停や裁判にまで発展してしまい、時間も費用もかかってしまいます。
相続人同士の関係が悪化する前に、できるだけ早く登記を済ませておくことが円満な相続のために不可欠です。
(3)所有者不明土地になる
相続登記を長期間放置すると、法律上「所有者不明土地」とみなされる可能性があります。
所有者不明土地とは、その名の通り「誰が所有者なのか登記簿上はっきりしない土地」のことです。
所有者不明土地は売却や利用が難しいだけでなく、公共事業や再開発の妨げにもなります。実際、国も「所有者不明土地問題」を深刻な社会課題と位置づけており、関連法の改正も行われています。
つまり、「親名義のまま放置した土地」は、いずれ「誰のものか分からない土地」になってしまい、資産価値を失ってしまうリスクがあるのです。
大切な財産を守るためにも、登記の放置は避け、できるだけ早く手続きを進めることが重要です。
3. 今できる具体的な対策
✅ 相続登記を行う
相続が発生したら、まず最初に取り組むべきは 相続登記(名義変更) です。
相続登記は「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員の合意を得たうえで法務局に申請します。
専門的な手続きや必要書類が多いため、一般の方が自分で対応するのは非常に大変です。
誤りがあると申請が受理されないケースもあるため、確実に進めるためには 司法書士に依頼するのが安心・安全 です。
相続登記を済ませることで、不動産の名義が正式に相続人へ移転され、売却や担保設定、将来的な利用がスムーズに行えるようになります。
逆に「登記を放置したまま」にしていると、不動産を自由に動かせず、相続人同士のトラブルや所有者不明土地化といった深刻な問題に発展する可能性があります。
✅ 遺産整理を進める
不動産だけでなく、相続財産には 預貯金・株式・投資信託・自動車・貴金属 など、さまざまな資産が含まれます。
これらを整理して「誰がどの財産を承継するか」を明確に決めることは、将来のトラブル防止に直結します。
遺産整理を怠ると、相続人間で「知らない財産があった」「預金を勝手に引き出された」といった不信感が生まれ、紛争に発展することも少なくありません。
きちんと整理して相続関係説明図や財産目録を作成し、全員が内容を把握して合意することが重要です。
このプロセスも専門的な知識が必要になることが多いため、司法書士や行政書士、税理士といった専門家に相談しながら進めるのがベスト です。
✅ 将来に備えた仕組みを利用
相続発生後に慌てて対応するのではなく、生前から備えておくことも非常に大切です。
代表的な方法として、以下の制度があります。
家族信託:信頼できる家族に不動産や預貯金の管理を託す仕組み。
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まとめ
不動産の登記名義を「亡くなった親のまま」に放置しておくことは、さまざまなリスクを招きます。
まず、2025年4月から始まった相続登記義務化 により、名義変更を怠れば 10万円以下の過料(罰金) を科される可能性があり、法的リスクが現実のものとなっています。
さらに、名義が故人のままでは 不動産の売却や活用ができず、資産価値が大きく下がってしまう恐れがあります。
せっかく買主が見つかっても「登記を済ませてから」と言われて契約が進まない、資産を有効に活用できない、といった 経済的な損失 につながります。
また、相続登記を先延ばしにすると時間の経過とともに相続人が増え、兄弟だけの話し合いで済んでいたものが、甥・姪・いとこまで広がり、全員の同意が必要になるケースも少なくありません。こうした状況は相続人同士の 争いを激化させる家庭内トラブル を引き起こしやすく、最悪の場合は「所有者不明土地」となり、公共事業や再開発にも支障が出る社会的問題に発展します。
つまり、「まだ大丈夫」と思って放置してしまうことこそが最大のリスクです。
相続登記は義務であると同時に、財産を守り、将来のトラブルを回避するための重要な手続きです。今こそ早めに専門家へ相談し、相続登記を済ませることが安心への第一歩となります。
「まだ大丈夫」と思っている今こそ、相続登記を進めるタイミングです。
染谷総合法務事務所は、千葉県野田市に根ざし、半世紀にわたり地域とともに歩んできました。
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