判断力が衰える前に考えることが必要な時代になりました。
自分の判断能力が衰えてきた時にどうしてほしいですか?
- 家で暮らしたい
- 老人ホーム等に入所したい
- 希望する入所施設はある?
- 病気なった時にはどうしたい?
- 葬儀はどうしたい?
判断能力が衰える前に考える必要があることの一例です。
病院について
- かかりつけの病院があるか、希望する病院があるか?
- 手術が必要になった時どうするか、同意ができなかった時に誰がするか?
- 病気を告知して欲しいかどうか?
- 痛みを緩和する治療を望むかどうか?
- 延命治療の希望はあるか?
施設について
- 施設に入所する希望があるか?
- 希望する施設が具体的にあるか?
収支について
- 現時点の主な収入、年金等の年間収入を把握しているか?
- 生活に必要な費用、保険料等の年間支出を把握しているか?
財産について
- 不動産、預貯金、有価証券等の財産をどうするか?
- 不動産、有価証券、預貯金などの取り崩しや、処分順位や処分方法などを決めているか?
- 残余財産の分け方や処分等について要望はあるか?
- 遺言執行者の指定はあるか?
葬儀について
- 埋葬方法について希望はあるか?
- 納骨方法について希望はあるか?
- 永代供養について希望はあるか?
- 墓所等について希望はあるか?
成年後見制度について
- 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度
- 判断能力が不十分になった高齢者は、訪問販売などの巧みなセールスに根負けして不本意にも契約をしてしまったり、悪徳業者にだまされたりすることがあります。また、介護が必要になったり入院したりする場合、ご本人一人では種々の契約ができないこともあるでしょう。こんなとき、その人のために、契約の取消ができたり(同意権・取消権)、その人に代わって入院契約等をしたり(代理権)する人が必要になります。
このように、既に判断能力が十分でなくなっている場合には、法律によって援助者を定めてご本人を支援する制度があり、この仕組みを法定後見制度といいます。
法定後見制度では、ご本人の判断能力に応じて3種類の支援の類型があります。
任意後見制度
- ご本人の判断能力が十分なときに、将来、後見人になる人と支援を必要とすることがらをあらかじめ公正証書で契約を作っておきます。そして、判断能力が不十分になってきたら、その契約を発効させ、支援してもらう制度です。
成年後見人の選任者について
- 成年後見人等に選任される人の8割ほどは、ご本人のご親族です。家庭裁判所への申立て時に成年後見人等の候補者がいる場合は記載します。家庭裁判所は様々な事情を審査した後、成年後見人等を選任します。
候補者以外の第三者(司法書士、弁護士、社会福祉士など)が選任される場合もあります。
親族等が成年後見人等になった場合に、家庭裁判所は成年後見人等の事務を監督する成年後見監督人等を職権で選任することもあります。
成年後見制度は、以下のような場合に利用できる制度です。
- 一人暮らしでがんばってきたが、最近、物忘れがひどくなり、家事にも不安があるので、高齢者専用の施設に入りたいが、入居にあたり後見人をつけてほしいと施設に言われた。
- アパートを持っているので、家賃収入がある。財産管理を頼みたい。
- 認知症の母と同居して面倒をみようと思うが、母の家を処分して介護費用に充てたい。
- 最近、訪問販売で高級な着物や布団を買ってしまったが、本当なら断りたかった。
- 知的障害を持つ子の将来が心配。私たちが死んだ後も、子がきちんと生活できるようにしたい。
- 最近、父と同居している兄が、父の財産を勝手に使っているようだ。何とかしたい。
- 亡父の相続が開始し遺産分割協議をしたいが、母の認知症が進み、遺産分割協議ができない。
成年後見制度のメリット・具体例
成年後見制度の最大のメリットは、財産について将来への不安を取り除くことができることです。
また、悪徳商法や詐欺からの被害に対する予防にもなります。
- 遺産を分けたいが、相続人である母が認知症になってしまい、遺産分割協議ができない。
→その方に代わり、法定後見人として、遺産分割協議に参加することができます。 - 最近の父は一人での生活が困難になってきた。自宅の売却資金で施設に入所したい。
→法定後見人として、裁判所の許可を得て、ご本人のご自宅を売却し、適切な施設と入所契約をします。 - 母が認知症になってしまい、母の入所費用を支払いたいが、父の口座から預金を引き出せない。
→法定後見人としてお父様の財産(預金等)を管理し、入院費・入所費等を支払います。 - 一人暮らしの母が消費者被害にあってしまっている。
→法定後見人として不要な契約を取り消すことができます。