相続・売却前に知っておきたい基本知識
不動産を複数人で相続したり、夫婦でマイホームを購入したりしたとき、「共有持分」という言葉を目にしたことはありませんか?
この「共有持分」は、不動産の権利関係や手続きに大きく関わる重要なポイントです。
この記事では、「共有持分とは何か?」という基本から、相続や売却の際に気をつけたい注意点まで、司法書士の視点でわかりやすく解説します。
共有持分とは?簡単に言うと「持ち分割合」
「共有持分(きょうゆうもちぶん)」とは、1つの不動産を複数人で所有している場合の“それぞれの持ち分”を指します。
たとえば、兄弟2人で土地を相続した場合、それぞれの登記簿には
「共有者:◯◯ 持分1/2」
「共有者:△△ 持分1/2」
と記載されます。
🔎 ポイント
- 所有権はそれぞれにあるが、物理的に分けられているわけではない
- 境界線や「こっちは自分のエリア」とは決められない
- 登記簿に持分が記載され、法的に保護される
そもそもまず、相続したお家、登記してますか?

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相続で共有持分が発生するケースとは?
共有持分は、相続によって突然発生することがよくあります。
✅ たとえばこんなケース
- 親の家や土地を、きょうだいで法定相続した
- 遺言がなく、相続人全員で話し合って持ち分を決めた
- 遺産分割協議がまとまらず、とりあえず共有状態にした
⚠️共有状態の注意点
- 他の共有者の同意がないと売却・活用しづらい
- 修繕や賃貸にも全員の意思確認が必要
- 放置するとトラブルや「空き家化」の原因にも
共有持分のまま売却できる?よくある相談
「自分の持分だけでも売りたい」という相談も多く寄せられます。
【共有持分の売却は可能】ですが、注意点があります
内容 | 詳細 |
自分の持分だけ売ることはできる? | 原則は可能(他の共有者の同意不要) |
他の共有者の同意が必要なケース | 不動産全体の売却、利用、解体など |
買い手がつきにくい? | 共有持分だけでは活用しづらく、買い手が限定される |
👥 よくあるトラブル例
- 他の相続人が同意せず、売却が長引く
- 揉めごとが増えて、関係が悪化
- 放置された共有不動産が荒れ地・空き家化する
解決策は?共有状態の整理方法
共有状態を解消したい場合、以下のような方法があります。
✅ 方法①:持分を譲渡・買い取り
- 他の共有者に買い取ってもらう
- 外部の業者に売却する(持分買取業者など)
✅ 方法②:分筆・分割による分離
- 土地を分けて単独名義にする(要測量)
- 現物分割または代償分割(遺産分割協議が必要)
✅ 方法③:共有者全員で売却して現金で分ける
- まとまって売却し、持分に応じて現金を分配
相続・売却の前に!まずは「登記簿」を確認
共有持分の状況は、不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)で確認できます。
登記内容を見てもわかりにくい場合は、司法書士など専門家に確認を依頼するのが安心です。
まとめ:共有持分は早めの整理がカギ!
チェックポイント | ✅ |
相続で共有持分が発生した | 確認が必要 |
自分の持分だけ売却したい | 可能だが慎重に |
他の共有者と連絡が取れない | 早めに専門家に相談を |
共有状態のまま放置すると、相続人が増えていく「数次相続」や「空き家問題」の原因になることも。
早めに状況を把握し、トラブルを防ぐための対策をとりましょう。
専門家に相談して“自分に合った対策”を
染谷総合法務事務所では、司法書士・行政書士・税理士・不動産の専門家がチーム体制で対応しています。
家族信託・遺言・相続対策についてのご相談などなど、数多く承っております。