認知症対策としての「任意後見契約」と「家族信託」
高齢化が進む今、「認知症になった後の財産管理や生活支援」に備える制度として、
任意後見契約と家族信託が注目されています。
どちらも「将来の自分を守る」ための制度ですが、
仕組みや手続き、使える場面に違いがあるため、選び方に迷う方も多いのが実情です。
本記事では、2つの制度をわかりやすく比較し、
あなたに合った選択のヒントをご紹介します。
任意後見契約とは?
本人が元気なうちに「将来の後見人」を決める制度
任意後見契約(にんいこうけんけいやく)とは、将来判断能力が低下したときのために、
信頼できる人(任意後見人)に、財産管理や手続きを任せる契約をあらかじめ結んでおく制度です。
詳しくは下記コラムから

2025.06.23
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家族信託とは?
大切な財産を家族に“託す”新しい財産管理の仕組み
家族信託(民事信託)は、自分の財産を信頼できる家族に託して、
自分や家族のために管理・運用してもらう制度です。
「自分が元気なうちから」財産を動かせる点が特徴で、
相続や事業承継、認知症対策にも幅広く活用されています。

2025.06.30
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任意後見契約と家族信託の比較表
任意後見契約 | 家族信託 | |
活動開始時期 | 認知症発症など判断能力低下後 | 契約後すぐに開始可能 |
財産管理対象 | 主に金銭管理、契約手続きなど | 不動産や金銭などの財産全体 |
契約形態 | 公正証書 | 契約自由(公正証書推奨) |
監督体制 | 家庭裁判所の監督あり | 監督人は基本なし(設置可) |
柔軟性 | 制限あり(法定業務) | 柔軟な設定が可能 |
費用の目安 | 5~10万円前後(登記等含む) | 10~30万円程度(内容による) |
どっちを選べばいい?判断のポイント
「何を重視するか」で選び方が変わります。
- 法律的な安全性・裁判所の監督を重視 → 任意後見契約
不動産や資産の承継まで考えたい → 家族信託
元気なうちから柔軟に財産管理したい → 家族信託
認知症になった後の生活サポートが目的 → 任意後見契約
両方を併用するケースも増えているため、
専門家に相談しながら設計するのがベストです。
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